WALK-TRIPS ~ 歩き旅と写真

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鳥取 鳥取城跡 ~山城の石垣と城下町の景色が語る、鳥取の歴史を歩く旅~

訪問日:2026-05-04
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鳥取 鳥取城跡 ~山城の石垣と城下町の景色が語る、鳥取の歴史を歩く旅~
鳥取城跡|石垣をたどりながら鳥取の歴史と風景に出会う場所
鳥取県を代表する観光地と聞くと、まず鳥取砂丘を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、鳥取市の中心部には、砂丘とはまったく異なる魅力を持つ歴史スポットがあります。それが、久松山の山麓から山頂にかけて広がる「鳥取城跡」です。

現在の鳥取城跡には、かつての天守や櫓などの建物は残っていません。その代わり、山の斜面に沿って積み上げられた石垣や曲輪の跡、復元された門などから、城が築かれていた時代の規模と地形を生かした構造を感じ取ることができます。

きらびやかな天守を眺める城とは違い、鳥取城跡は、残された石垣や道筋を自分の足でたどりながら、かつての姿を想像して楽しむ場所です。城郭に詳しい人はもちろん、歴史にそれほど詳しくない人でも、鳥取市街を背景に連なる石垣の景観を眺めていると、この場所が長い年月にわたって鳥取の中心であり続けたことを実感できるでしょう。

[住所]鳥取県鳥取市東町
[アクセス]
JR鳥取駅からは、市内を走る100円循環バス「くる梨」の緑コースを利用できます。乗車時間は約8分で、「仁風閣・県立博物館」または「市立武道館」で下車すると、鳥取城跡の入口付近まですぐです。
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久松山の地形を生かして築かれた鳥取城
鳥取城跡があるのは、鳥取市街の北東側にそびえる久松山です。久松山は標高263メートルほどの山で、市街地から見上げると、平地のすぐそばから急に立ち上がるような姿をしています。

この急な地形は、城を守るうえで大きな利点になりました。鳥取城は戦国時代の山城を起源とし、後に山麓部分も整備された平山城へと発展していきます。山頂付近には戦国期の山城らしい遺構が残り、山麓には江戸時代の鳥取藩の居城として整えられた石垣や曲輪が広がっています。

ひとつの城跡の中に、戦国時代の山城と江戸時代の近世城郭の特徴が重なっている点は、鳥取城跡の大きな特色です。長い歴史の中で城の役割や形が変化してきたことから、鳥取城跡は日本の城郭の歩みを伝える「城郭の博物館」とも呼ばれています。

山麓だけを歩いても見応えがありますが、体力と時間に余裕があれば山頂の山上ノ丸を目指すこともできます。市街地のすぐ近くにありながら、本格的な山城歩きの雰囲気を味わえるのも、鳥取城跡ならではの魅力です。


羽柴秀吉の兵糧攻めで知られる歴史の舞台
鳥取城の歴史を語るうえで避けて通れないのが、天正9年、1581年に行われた羽柴秀吉による鳥取城攻めです。

当時、織田信長の家臣として中国地方への進出を進めていた羽柴秀吉は、毛利方の拠点となっていた鳥取城を攻略するため、城への食料の搬入経路を断つ兵糧攻めを行いました。鳥取城側では吉川経家が城主として守りに入りましたが、籠城が長引くにつれて城内の食料は尽き、非常に厳しい状況に追い込まれたと伝えられています。

最終的に吉川経家は、城内の人々の命を救うことを条件として自ら命を絶ち、鳥取城を明け渡しました。鳥取城跡を訪れるときは、単に秀吉の戦術だけに注目するのではなく、城を守った人々や城内にいた人々が置かれた状況にも思いを寄せたいところです。

山の東側には、秀吉が本陣を構えたとされる太閤ヶ平があります。鳥取城跡と太閤ヶ平は国の史跡として一体的に指定されており、城を守る側だけでなく、攻める側が築いた陣城の遺構も残されている点が特徴です。

現地の地形を眺めながら位置関係を知ると、鳥取城攻めが広い範囲を使って行われた大規模な戦いだったことが分かります。歴史上の出来事を、地図の上ではなく実際の山や距離感を通して理解できるのは、史跡を訪れる醍醐味のひとつです。


鳥取藩32万石の居城へ
戦国時代の攻防を経た鳥取城は、江戸時代に入ると鳥取藩の中心として大きく整備されました。

池田光政の時代には、山麓部分を中心に石垣や御殿、櫓などが築かれ、鳥取藩32万石の居城にふさわしい城郭へと姿を変えていきます。鳥取城の整備には姫路城の築城に関わった職人たちが携わったとされ、そのつながりから「姫路城の弟城」と呼ばれることもあります。

その後、鳥取藩は池田光仲を藩祖とする鳥取池田家によって治められました。久松山の麓に広がる城は、政治の中心であると同時に、城下町の人々にとって鳥取を象徴する存在だったと考えられます。

明治時代になると、城内の建物の多くは解体されました。現在は大規模な天守や櫓を見ることはできませんが、石垣の配置や高低差を見ながら歩くと、かつて山麓に広がっていた城の輪郭が少しずつ見えてきます。

建物がないからこそ、石垣や地形に目が向きやすいともいえます。想像力を働かせながら歩くことで、鳥取城跡は訪れる人それぞれに異なる景色を見せてくれる場所です。


鳥取城跡を象徴する天球丸の巻石垣
鳥取城跡で特に印象に残るのが、天球丸にある「巻石垣」です。

巻石垣は、球面状に石を積み上げた独特の形をしています。一般的な城の石垣は直線や角を組み合わせて構成されることが多いため、半球のように丸みを帯びた巻石垣は、初めて見ると城の遺構とは思えないほど個性的です。

この石垣は、斜面の崩落を防ぎ、石垣を補強する目的で築かれたものです。装飾のために丸くしたのではなく、地形や石垣の状態に対応するための工夫から生まれた形とされています。

下から見上げると石がなめらかな曲線を描き、周囲の直線的な石垣とは明らかに異なる存在感があります。近くまで歩いて石の積み方や曲面を眺めると、当時の石工が地形に合わせて工夫した技術の高さが伝わってきます。

鳥取城跡を訪れたなら、全体の写真を撮るだけでなく、石の形や隙間、曲面のつながりにも注目してみてください。同じ石垣でも見る位置によって印象が変わり、上から眺めたときと下から見上げたときでは、まったく違う表情を楽しめます。


復元整備によってよみがえる大手登城路
鳥取城跡では、かつての城の姿を伝えるための復元整備が進められています。

城の正面玄関にあたる大手登城路では、擬宝珠橋や中ノ御門表門などが復元され、さらに中ノ御門渡櫓門も完成しました。石垣だけが残る城跡の中に門や橋が加わることで、江戸時代の人々がどのような道を通って城内へ入ったのかを、より具体的に想像できるようになっています。

復元された建造物は、単に昔の形を再現した観光施設ではありません。発掘調査や古写真、絵図などをもとに検討しながら整備されており、鳥取城の歴史を将来へ伝える役割も担っています。

擬宝珠橋から門をくぐり、石垣に囲まれた道を進むと、城へ入っていく感覚が自然と生まれます。天守が残っていなくても、登城路を歩くことで城の入口らしい緊張感や格式を感じられるのは、復元整備が進む鳥取城跡ならではです。

一方で、城跡では現在も調査や整備が続けられています。工事によって通行できる場所や見学できる範囲が変わる場合があるため、訪問前には鳥取市や鳥取市観光サイトの最新情報を確認しておくと安心です。


二ノ丸から眺める鳥取市街
山麓から石段や坂道を上がって二ノ丸付近まで進むと、視界が開け、鳥取市街を見渡せる場所があります。

城跡の石垣越しに現代の町並みが広がる景色は、鳥取城跡の印象的な風景のひとつです。城が使われていた時代には、ここから城下町の様子を見渡していたのでしょう。現在の建物や道路を眺めながら、かつての町の姿を重ねてみるのも面白い楽しみ方です。

鳥取市の中心部は比較的平坦で、その背後に久松山が立ち上がっています。二ノ丸から町を見下ろすと、なぜこの山が城を築く場所として選ばれたのかが感覚的に分かります。平野部を見渡しやすく、背後には険しい山があるため、城を守るうえで都合のよい地形だったのでしょう。

晴れた日は遠くまで見通せますが、雲の多い日や雨上がりには、石垣の色が濃くなり、落ち着いた山城らしい雰囲気が強まります。天候によって景色の印象が変わるため、華やかな晴天だけでなく、少し曇った日の散策にも独特の味わいがあります。


山頂の山上ノ丸を目指すなら準備を整えて
鳥取城跡の山麓部分は観光散策として比較的歩きやすい一方、久松山山頂の山上ノ丸へ向かう道は、本格的な登山道に近い場所があります。
山頂までは急な坂や石段が続くため、歩きやすい靴が欠かせません。特に雨の後は足元が滑りやすくなることがあるため、無理をせず天候や体調を見ながら行動することが大切です。夏は暑さと虫への対策、冬や早春は冷え込みや積雪への注意も必要になります。

山上ノ丸には天守跡などが残り、山麓とは異なる山城の雰囲気を味わえます。険しい道を登った先からは、鳥取市街や周囲の山々を見渡すことができます。久松山が眺望に優れた城山であることを、自分の目で確かめられる場所です。

ただし、鳥取城跡の魅力は山頂だけにあるわけではありません。時間や体力に不安がある場合は、無理に頂上を目指さなくても、擬宝珠橋、中ノ御門、二ノ丸、天球丸周辺を巡るだけで十分に楽しめます。

旅行の日程に合わせて、山麓を中心に歩くコースと山頂まで登るコースを分けて考えるとよいでしょう。


桜と石垣が彩る久松公園
鳥取城跡の山麓一帯は久松公園として整備され、鳥取市民の憩いの場としても親しまれています。

春には桜が咲き、石垣や復元された門を背景にした華やかな景色が広がります。歴史的な石垣と淡い桜の花が重なる風景は写真にも収めやすく、城跡散策と花見を一緒に楽しめる時期です。

新緑の季節には久松山の木々が鮮やかになり、石垣との色の対比が際立ちます。夏は木陰に入ると涼しさを感じられますが、山頂を目指す場合は十分な水分が必要です。秋には木々が色づき、落ち着いた城跡の雰囲気と紅葉がよく調和します。

葉が落ちる冬は景色が寂しく感じられるかもしれませんが、木々に遮られにくくなるため、石垣の輪郭や山の斜面が見やすくなる季節でもあります。鳥取城跡は、季節によって注目したい景色が変わる場所です。


城跡と洋館が並ぶ鳥取ならではの風景
鳥取城跡の近くには、国の重要文化財に指定されている洋館「仁風閣」があります。

白い外壁を持つ明治時代の洋風建築と、背後にそびえる久松山、鳥取城の石垣が一緒に見える風景は、鳥取城跡周辺を象徴する景観のひとつです。戦国時代や江戸時代の城郭、明治時代の洋館、現代の公園が同じ場所に重なり、鳥取という町が歩んできた時間の層を感じさせます。

仁風閣は、皇太子嘉仁親王、後の大正天皇の山陰行啓に際して宿泊所として使用された建物です。外観だけでなく、館内のらせん階段や意匠も見どころとして知られています。

ただし、仁風閣は保存修理工事のため、時期によっては建物が覆われ、通常どおり見学できない場合があります。鳥取城跡とあわせて訪れる予定の場合は、公開状況を事前に確認してください。


鳥取県立博物館や城下町散策と組み合わせる
鳥取城跡のすぐ近くには鳥取県立博物館があります。鳥取県の自然、歴史、美術などに関する展示があり、城跡を歩いた後に立ち寄ると、鳥取の土地や文化について理解を深めることができます。

また、周辺には旧城下町の面影を感じられる通りや寺院も点在しています。城跡だけを短時間で見て帰るのではなく、町の中をゆっくり歩いてみると、久松山と城を中心に鳥取の町が形成されてきたことが見えてきます。

鳥取市街には、鳥取の海や山の食材を味わえる飲食店もあります。松葉ガニや白イカなどの海産物は季節によって楽しめる時期が異なりますが、城跡散策の前後に地元の料理を組み合わせると、歴史だけでなく鳥取の食文化にも触れられます。

鳥取砂丘と鳥取城跡を同じ日に巡る場合は、午前中に城跡を歩き、午後に砂丘へ向かう方法もあります。城跡では山と石垣、砂丘では風と砂がつくる景観を楽しめるため、同じ鳥取市内でも異なる土地の表情を感じられるでしょう。


鳥取城跡へのアクセスと散策の注意点
鳥取城跡は鳥取市東町にあり、JR鳥取駅から車でおよそ10分です。路線バスや市内循環バスを利用して向かうこともできます。

鳥取城跡の専用駐車場はないため、車で訪れる場合は周辺の利用可能な駐車場を事前に確認しておく必要があります。桜の時期やイベント開催時は周辺が混雑することも考えられるため、公共交通機関を利用する方法も検討するとよいでしょう。

山麓の散策でも石段や坂道があるため、履き慣れた靴がおすすめです。山頂へ向かう場合は、飲み物、帽子、雨具なども準備し、日没までに余裕を持って戻れる計画を立ててください。

史跡内では、石垣に登ったり、立入禁止区域へ入ったりしないよう注意が必要です。鳥取城跡は、長い時間をかけて調査と修復が続けられている貴重な文化財です。景観を楽しむだけでなく、次の世代へ残す場所であることを意識しながら歩きたいものです。


派手さよりも、歩くほどに魅力が見えてくる城跡
鳥取城跡には、遠くからでも目立つ大天守はありません。それでも、門をくぐり、石垣の間を歩き、高台から町を眺めていると、建物が残っていないことを忘れるほど多くの発見があります。

戦国時代の険しい山城、羽柴秀吉の兵糧攻め、鳥取藩32万石の居城、明治時代の洋館、そして現在も進められている復元整備。鳥取城跡には、ひとつの時代だけでは語れない歴史が重なっています。

石垣の角度や積み方を眺める人もいれば、山頂からの景色を目的に登る人、桜や紅葉を楽しむ人もいるでしょう。訪れる人の関心によって、見どころが変わるのがこの城跡の面白さです。

鳥取砂丘とは異なる鳥取の表情を知りたい人や、町歩きの中で歴史に触れたい人にとって、鳥取城跡は立ち寄る価値のある場所です。急いで通り過ぎるのではなく、石垣の前で少し立ち止まり、かつてここにあった城と城下町の姿を思い浮かべながら歩いてみてください。
※写真はすべてWALK-TRIPS事務局が現地で撮った写真です
鳥取 鳥取城跡 ~山城の石垣と城下町の景色が語る、鳥取の歴史を歩く旅~
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